号外すいかとかのたね

漫画雑誌「すいかとかのたね」のブログです。僕らの好きな漫画・雑誌の話です。

すいかとかのたね5号の記録

2014年、大学2年の晩夏から作り始めた雑誌『すいかとかのたね』は、幸運にも3年半以上続いていて、先週ついに第5号が完成した。

 
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といっても今はまだ納品待ちの段階で、宣伝をしたり、コミティアの設営について考えたりしながら、不安と期待の入り混じる気持ちで実物を待っている。
出来上がった5号は2018年5月5日(土)のコミティア124で販売し、その後は通販をしたり、その他の機会を見つけて販売することになる。
 

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5号の目玉は、その内容の雑多さ、多層構造、混乱具合にある。雑誌の「雑」の字に忠実な作りになっている。が、手抜きという意味の「雑」ではない。雑木林の「雑」だ。
 
今回、雑誌編集のコンセプトを「これまでで一番カオスなもの」というものにした。安っぽく思えるワードだが、イメージしているものをそういう言葉でしか表せなかった。その意図を簡単に説明すると、小綺麗に固まらない、同人誌ならではの熱量を持ったものを作りたいということ。
ちなみに編集のコンセプトといっても、これに合わせて作家に漫画を描いてもらうわけではない。漫画に関してはいつも各々がただ描きたいものを描いている。決めたのはその周りや配置などをどうするかについてのコンセプトだ。
 
だけども、このコンセプトは僕らには少し難しいものだった。きっと多くのデザイン科出身者やデザイナにとって、細部を整えない良さや、投げっぱなしにする良さ、意味不明・あるいは意味がないという良さは、わざわざ意図しないと生まれづらいのではないかと思う。
 
自分の場合には、ほぼ無意識のレベルで「これは整えておこう」「これは意図が伝わりづらいのでは?」といったセンサーが働いて、つい整えるという作業をしている(その整える技術自体が未熟だったりもするのだけれど)。
 
そういった習性にわざわざ抗おうとしないと、このコンセプトには近づけないのだということをやっていく上で感じた。その結果は見て確かめてもらいたい。
この“習性”については、5号に収録される、ファインアート畑の友達、ぼりのしんと僕との対談の中でも話題になっているので読んでほしい。おこがましいという点を抜きにすればけっこう面白くなっていると思う。彼は以前『ペンギンランド』という奇妙な雑誌を作っていて、それを見て僕は「自分には到底作れない感覚だ…」と笑いながら嫉妬した。
 
およそ11人いるすいかとかのたねのメンバーのうち、今回編集にあたったのは、中山、大木、野口の三人。中山・野口が漫画の間に挟まる漫画以外のコンテンツを作った一方で、表紙から漫画が始まる(表紙がない)というデザインを提案し、デザインにおけるイニシアチブを握ったのは大木錦之介だ。1号のデザインを担当し、ある種この雑誌の方向性を定めたとも言える彼は、号によってコアメンバーになったり離れたりという、楕円軌道の惑星のような人物である。
 
中身の具体的な話を少しする。
 
まず漫画について、こちらはツイッターで順次紹介しているのでまずはそちらを見ていただきたい。
 
そして、漫画以外でのポイントの一つが「あたらしい遊びの手引き」だ。
僕(中山)と野口は以前から、新しい遊びやゲーム、遊びとも言えないサムシングを考えるのが好きで、たびたび作って遊んだりしていた。4号に収録されている「新聞逆大喜利」というややこしいゲームもそのうちの一つで、あれはルールを読むのも面倒だと思うのだけど、やってみると非常に面白い。ここでは説明を省くが、機会があれば4号を読んでもらいたい。
今回はとにかくそれを量産してみようということで、「あたらしい遊び」を100個作るのを目標にした。結果、雑誌に載せられたのは65個だったが、そのなかにきっとあなたの気に入るものがあると思う。ツイッターに載せて少し反応のあった「路上コピー採集」もそのうちのひとつだ。
遊びを考えるだけでなく、そのうちのいくつかは実践し、それが雑誌に雑多に散りばめられている。やってみると、予想を超えたところに面白さがあったり、その逆に予想外の難しさがあったりするので非常に楽しい。
もし読んだ人がひとつくらい実践してくれたら、こんなに嬉しいことはない。
 
ためしにいくつか抜き出してみる。
 
同じ服装で同じ時間に同じ店に集まる。大きい店だと良い。お互いに会わずにお題の買い物を済ませられたら勝ち。
 
【コピペ作文】
青空文庫からのコピペだけで手紙を書く。
 
【アフター10】
あるものの10分後、10時間後、10日後、10ヶ月後、10年後などの姿を想像してみる。
 
【スピードワード】
①ランダムなひらがな1文字 と ②2〜12のランダムな数字1つ を出し、「そのひらがなから始まるその文字数の言葉」を早く言った人が勝ち。(ネット上のランダム文字列ジェネレータなどを使うと良い)
 
最後のゲームはファミレスで遊びながら考えたものだが、単純そうに見えて小1時間盛り上がれる。行列に並んでいる時などの手持ちぶさたな瞬間におすすめ。
 
これ以外にも、もっと複雑なものやあまりにくだらないものまで織り交ぜ大量に載っているので、興味を持たれた方は『すいかとかのたね5号』をコミティアや通販でぜひ買ってみてください。
 
これまでの号は1〜3号が完売で、現在売っているのは『すいかとかのたね4号』と、『別冊すいかとかのたね』(実質4.5号)だけとなっていますが、コミティアでは売り切ってしまった号も閲覧用に置く予定なので、気になる方は見に立ち寄ってください。それだけでもありがたいです。
 
次回は漫画についても少し書きたいと思うのでまた。
 
 
通販はこちらから(4号が買えます)
 
ツイッターは@suikatokanotane(5号の漫画紹介してます)